editorial vol.01 / Interview with bebi
DATE : 2018/Jan/6 22:22
interviewer : tsubasa kawabata (keyakistore)

『No.7 Bedside Story Episode2』 について

槻衣料のために新しく制作してくれたというカフス、「ベッドサイドストーリー第2話」。
その誕生秘話をメインに、BEBIのものづくりに対する考え方を聞き出し彼女の魅力に迫ります。

ベッドサイドストーリーが出来るまで

川端つばさ / 槻衣料(以下つばさ) : ベッドサイドストーリーについて聞きたい事がいろいろあって、べびちゃんはどのボタン?パーツ?が1番好きなんやろうなあとか、

BEBI(以下べび) :  あ〜〜、やばい楽しい(笑)

つばさ : 全部一個一個思い入れがあるっていうか...自分で持ってたやつですもんね?

べび : そうです。もともとボタンとか集めるのが凄い好きで、ずっと缶の中に詰めて貯めてたボタンとかを使って作りました。 最初にベッドサイドストーリーを作ったのが去年の今頃で、文化のアクセサリーの授業でなんの決まりも無いから好きにアクセサリーを作ってくださいっていう自由課題が出て、最初違うものいろいろ作ってたんですけど、なんか全然しっくりこなくって。 でも期限は迫ってるし、でもどうでもいいものを作る事に時間も費やしたく無いし、どーしよどーしよと思った時に、それまではその辺にある適当な材料を使ってアクセサリー作ってたけど、そうじゃなくて全てのパーツを自分の好きなもの、自分のめちゃめちゃ大切なものを使って作ったら、大切なものから出来たものはまた結局大切なもの、というか好きなものだなあと思って。 だから、ほんと20年くらい貯め続けて大切すぎて使えなかったボタンとかを使おう、と思って。

つばさ : わぁ、それは貴重だ

べび : そう、それで期限もギリギリに迫ってって、でも冬だったし寒くてやる気もなくて(笑) ベッドの中に入るのが大好きだから、じゃベッドの中で作れるものを作ろう!と思って、いつか大事なものを作るときに使おうと思ってたデニムの カフスの部分と、色んな刺繍糸と、ボタンを缶の中に入れてそのままベッドに潜り込んで、でベッドの中でダラダラと作ったのが最初の ベッドサイドストーリーの1話なんですよ。

それで今回ケヤキ衣料のために作った第2話は、去年とはもう(べびの)趣味が変わってて、第1話の方も見てる分には良いんだけど、 自分が実際着けるとなったら何か違うんだよなあというか、実際着けれないで置物のように置いてるだけだったので、 もうちょっと去年より大人になった自分が着けたいアクセサリーを作ろうと思って。 それで今回のボタンとか糸のセレクトは、今自分が身につけたい物を選んで作りました。

Bedside Story Episode1(カフス)

つばさ : うん、なんかだいぶ大人っぽくなったよね

べび : そうそう、第1話よりは全然。この色合いとかは、青が好きっていうのとかもあるんだけど、楽しんで作れるように映画を観ながら作ってて、『BIG EYES』っていう映画

つばさ : あ!BIG EYES!

べび : そう!あれを観ながら作ってて、でBIG EYESもブルーとかのイメージがあるから、 作りながら観てたらなんとなく最終的にこんな感じに

つばさ : あ〜〜、なるほどねえ。そんな秘話があったんだ。 ちなみにどうでもいいかもしれんけど、どんな体勢で作ってたんですか?

べび : 最初の方はたぶん机に向かって作ってたんだけど、でも結局やっぱベッドの中に入って、 ベッドの頭のところにでっかい枕を置いてそれを背もたれにして、座って羽毛布団を掛けてって感じでいつもやってます。 寝ながらだとほんとに寝ちゃうから。でもちょっと疲れたら寝たりして、結局5時間ぐらい寝ちゃったりして(笑)

つばさ : 朝になってる(笑)

べび : そうそう。あ、でもこれはいつも昼間に作りますね、夜じゃなくて。

つばさ : あ!昼間にベッドの中に入って、

べび : そう、それがもう至福(笑)。

つばさ : 夜やと思った。寝る前とか

べび : いや全然。朝ごはん食べて、さっきまでベッドで寝てたのにまたベッドの中戻って

つばさ : あー、めっちゃ幸せなやつ

べび : そうめちゃくちゃ幸せな感じで作れるのがこのベッドサイドストーリー。

BIG EYESを観ながら制作中

つばさ : これはまずどこから作っていったんですか?

べび : まず最初にボタンを缶の中から選び出して、カフスの上に置いてって配置を決めて、 携帯で写真を撮って一旦配置を覚えといて、で刺繍糸でカフスの周りを先に囲って、 ボタンを実際着けたのは最後ですね。その写真を見ながら。 だからボタンをのせて写真を撮るところまでは机でやってて、そっからはベッドの中で(笑)

つばさ : これでも配置とか難しそう〜

べび : そう結構、悩みましたね。

つばさ : ね、色あるし

べび : そうそう。平面に置いてる時と腕につけた時とじゃボタンの隙間とかも変わるから、 実際着けてみて、あー違ったと思ったら切ってまた外してもっかい付け直してとかもあります。

つばさ : え〜...これでも着けながらできひんもんねぇ。 ちなみにこの中でネジも入ってるけどネジもその宝箱の中に入ってたの?

べび : あ、そうネジも宝箱の中に入ってたやつで、これなんのネジだろう...多分昔の家具を解体した時に

つばさ : 家具〜〜!(笑)家具のネジ取っとくってもうホンマべびちゃん、

べび : 家具のネジ全部取ってありますよ!(笑)

つばさ : え〜〜!?どこの部分か分からんけどとりあえず取っとくみたいな?

べび : そうですそうです。なんか、ネジが入るとまた変わるというか、ちょっと締まるっていうか。

つばさ : ね、全部ボタンじゃないのが(締まってる)。

べび : なんかボタンだけだとちょっと野暮ったくなるかなって思って。 手縫いのものって結構野暮ったくなりがちだけど、それを野暮ったくさせないように こういうシルバーのものを投入したいとか、

つばさ : あ〜、ちょっとギャップというか、

べび : そうですね。だから手縫いで洋服縫い合わせる時も糸の色に気を使ったりとか、

つばさ : うんうん、これ全部グラデーションになってるのがめっちゃ可愛い。

べび : そう!これも新しくは買ってなくって、いつか買ったやつだと思うけど、 刺繍糸の箱もあるんですけどそこから水色の糸をいっぱい出してきて、そん中から選んだんで、

つばさ : 色彩感覚がほんま凄い。

べび : あ〜言われます、嬉しい。

つばさ : 色使いがめっちゃ好きです。

べび : わ、ありがとうございます。嬉しい。

ものづくりは感覚で、全て本番

つばさ : こういうイメージはBIG EYESやったっけ?そういう映画から?

べび : いや!そうでも無くって、BIG EYESはほんとに流し見。 こう、作るのが嫌になってきちゃうとほんとにダメだから、 とにかくダラダラ作るのが結構好きで、ベッドの中で映画観ながら紅茶飲みながら、みたいのが好きだから。 そうですね、イメージだったら、『自分が今着けたいカフス』だけど、"ベッドサイドストーリー" だから、ちょっと、夢...じゃないけど、観てた映画の雰囲気とかも、多分作ってるうちに入るかも。 いつも洋服作るときも、デザイン画を描かないから、作りながらいろんなこと考えながら だんだんだんだん形になっていくから、だからBIG EYESからも絶対無意識に影響は受けたと思います。

つばさ : じゃあアレや、べびちゃんはものを作るときに、「これ作ろう!」ってよりも、 なんか作ってったら出来たみたいな?

べび : あでも、「これ作ろう!」って時もあるし、そのうち「あれ?何でこんなのになったんだろう?」っていう、 自分でも意味わかんないものが出来たりもする、します。 手を動かしてって〜、って感じ。

つばさ : あ〜、すごい。身体が先にって感じ?

べび : そうですね。感覚的に。 だから仮縫いとかもしないので、最初にこれ!って決めないから、作りながら「あ、ちがう」と思って外してって、 あ、またちがうってなって、しっくり来るとこに持っていくように、とにかく手を動かして作るって感じです。

つばさ : じゃあ全部本番みたいな

べび : あーそうそう!全部本番!

自分の表現のために

つばさ : これってどれくらい時間かかってる?

べび : どれくらい〜、だろう、...やでも1日くらいかなぁ

つばさ : え!1日で出来るのこれ!?

べび : そうですね。朝起きてからやって、あでも次の日の朝とかに持ち越してるかもしれないけど、

つばさ : あ〜〜、丸一日?

べび : はい、丸一日くらい。これ!と決めて、量産するような気持ちでやってたら全然2時間くらいで出来ると思うけど、

つばさ : 早!(笑)

べび : 最初から見本があって、誰か他の人に作ってもらうのだったら2時間くらいで出来るけど、私の場合は、 なんだろ、その過程があって出来るから、

つばさ : なんか、量産的っていうか、「これを作る、はい2時間で」って感じはべびちゃんっぽくないよね

べび : 明日までには作りたい!とかはあるけど、もう、思い通りに行かないことだらけ。

つばさ : その時々の感じが良いんですね。

べび : そう、結局服もそうなんだけど、なんで作ってるんだろうって考えたら、「あ、自分のために作ってるんだ」っていうのがすごいあって。 考えてる事とか思う事とか感じる事はめちゃくちゃたくさん自分の中にあるんだけど、それをいつも言葉に出来なくて、 一般的に"自分の持ってる事や考えてる事を言葉に発してアウトプットする"っていう方法の代わりに、 私の場合は、"服にする"っていう方法でアウトプットしてるというか、表現してるんだなあっていうのに最近、年末に気づいて、

つばさ : 年末!めっちゃ最近(笑)

べび : そう。気がつきました。

つばさ : それは何で気付いたんですか?

べび : 自分を客観的に見てもらって。それですごいすっきりしました。「あ、自分のために作ってるんだなあ」と思って。 自分の言葉に出来ないことを、こういう服とかアクセサリーとかの形にして出してるんだ、と思ったら楽になったっていうか。 今までは作ってるんだけど、なんか、何かが違うと思ってたのは、自分のために作ってるのに、着てもらうために、とか、 売ることっていうのを考えながら作って上手くまとまらなかったりして、 だからもうベッドサイドストーリーの話に関係無くなるけど、もう、自分のため?自分の表現のために作ってるから、 これからは人のため!とかはとりあえず全然考えないで、自分のために、売るっていう事も全く考えずに作ろう!と思ってて。 あとは3月からどこかで働こうと思ってるんですけど、

つばさ : え!へえー!

べび : 自分の為に手で作ろうってなったら技術がめちゃめちゃ必要だなって感じ始めて、結構技術面で壁にぶち当たったりする事があって、 自分が必要なことはお直し屋さんが持ってる技術だったので、お直しの所に一旦入って、今は実家暮らしだけど自立出来るように、 週の4日とかはお直し屋さんで働いて、でその他の時間で、自分の表現活動みたいなのに当てようと、

つばさ : おー!忙しそう

べび : 今まで全然自分の事が分かんなかったけど、ちょっとやっと方向が固まってきたかなって感じです。

つばさ : でもなんかこう、お直しって、"生き還らせる"みたいのがべびちゃんっぽいですね。

べび : そうですねほんとに、これからも今あるものを材料として使うってのは変わらないと思うので。

つばさ : べびちゃんが作ってるものって、ものっていうか表現やから?アートとして作ってる?って前(べびちゃんが)言ってて。で、 このカフスも着けるのも可愛いけど置いてても可愛いよな、と思って。 こういうアート的な作品はべびちゃん的に...何点っていうか、第2話はもう、大満足って感じ?それともまだまだ?

べび : えー...2話、は、アートとしてだったらまだまだかな。これ作ってるときは、着る人とかの事も考えながら作ってたから、 実際に身につけるっていうのを割と重要視して作ってたので、これを飾っても可愛いと思うけど、今アートっていうのを意識したら、 もうちょっと装飾が増えるかもしれないし、もうちょっと綺麗になんないかもしれないです。これはちょっと綺麗にまとめてる。

つばさ : 今はまとまってる、から付けやすくなってるけど、

べび : これからだったら多分もっと、糸が横から出てたりとか、カフスもボロボロだったりとか、 ボタンもちゃんとくっついてなくって今にも取れそうな感じで長ーく紐が出てたりとか、すると思います。

つばさ : でもそれくらいいってると面白いよね。

べび : そうですよね!

つばさ : なんやろ、最近ものって身につけるために出来てるからそういう無駄の無い感じになってるけど、無駄なものの方が、 なんか用途の無いものが結構魅力的やったりするから。 そういう用途の無いもの、身につけるアートみたいなのをいっぱい作っていって欲しいですね。

べび : あ、ありがとうございます。これ、今いい言葉をいただきました。ほんとにそう思う。

つばさ : 楽しみです!

べび : ありがとうございます。これからはもう、突っ切って。飾れる服とかも作ってもいいなあと思ってて、 それでたまに着れる!みたいなのも良いなあと思ってて、

つばさ : あー!いいなぁここぞという時に着る、みたいな

べび : そう、それ以外の時は飾る、とか、その洋服に合わせた額とかも作ったりしても楽しいなあって。 個展の場所と日程も来週中に決めようと思ってるので、それが分かったら早めに連絡します。

つばさ : あ!絶対行きます。

べび : ありがとうございます。1週間くらいはやりたいなと思ってるので。第2弾大坂で出来たらいいなぁ、 そしたらもし、協力とか

つばさ : もちろん!ほんまに今自分の周りにいる子を全員べびちゃんに会わせたくて、 絶対仲良くなれると思うから。大阪まで来てもらえるように頑張ります。

べび : 私も行って自分はこうだ!っていうのをもので見せれるように頑張ります。

つばさ : ありがとうございました!



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2018/1/6 22:22 電話にて
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BEBIより

初めてべびの服を扱いたいと声をかけてくれた記念すべき第一号のセレクトショップ! このふたりなら、自分の魂のかけら託せるな託したいなと思った! この度は槻衣料オープンおめでとうございます!ありがとうございます!KOREKARAYOROSHIKUNE。

BEBI
文化服装学院卒業のアーティスト、デザイナー。 bebi&niruのデザイナーも務める。 ''Clothes are my words.服は私の言葉です'' を掲げ、言葉にできない思いや感情を服で表現する。彼女のつくるものは袖を通せるアート。

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